NOVESKE X WRMFZYについてと特殊再刻印
- ALCM中の人
- 5月4日
- 読了時間: 6分
今回もまたNOVEKEネタです。
WRMFZY(ワームフジー)X NOVESKEがコラボした、M16A2のようなスタイルのアッパーレシーバーをNOVESKEがアレンジした商品が存在します。
WRMFZYって何?
“銃器業界におけるSupreme(シュプリーム)的存在”
単なる銃好きではなく、“遊び心とセンスを持ったギアオタク”に向けたブランド。
そしてその影響力は確実に、AR15界隈のデザイントレンドにも波及しています。
今回ご依頼いただいた「WRMFZY×Noveskeコラボロア」の再現も、そのトレンドを象徴する1つ。
その名も
Nightcap(ナイトキャップ)


WRMFZYとNoveskeのコラボレーションモデル「Nightcap(ナイトキャップ)」は、2023年10月31日(ハロウィン)に初回50丁がリリースされました。その後、四半期ごとに50丁ずつ追加販売され、最終的に合計200丁が限定生産されました。

あの“スOバ風”の女性刻印、その正体とは?
WRMFZY×Noveskeの「Nightcap」モデルを見て、「あれ…これスタO?」と感じた人も多いかもしれません。
ロアレシーバーの左側に刻まれている、王冠を被ったような女性の顔。どこかスターoックスのロゴを思わせるデザインが話題を呼びました。
でも、これは単なるパロディやオマージュではなく、WRMFZYらしい“反骨と風刺”を効かせたオリジナルキャラクターです。
WRMFZYの美学:「銃器×皮肉×アート」
WRMFZYは単なるファッションブランドではなく、「現代社会やカルチャーへの皮肉やユーモア」をプロダクトに織り込むのが持ち味。
この女性刻印もその一つで、
“平和・フェミニン・日常”の象徴であるコーヒーカップ文化と、
“武器・戦闘・カオス”の象徴であるAR15カルチャーを
あえて同居させることで、「何が善で何が悪か?」という問いを投げかけている。
という意図を含んでいると解釈されています。
正式名称は「The Nightcap Lady」?
公式では明確な名前が付けられていないものの、一部のファンの間ではこの刻印を「The Nightcap Lady」と呼んでいます。
王冠モチーフ
やや眠たげな表情
髪型はクラシカルなアメリカのピンナップ風
よく見ると“星条旗”をイメージさせる装飾も
など、細部にWRMFZYらしい“遊び”が効いています。
【検証】実際に届いたレシーバーを確認してみた
今回、実際に「Nightcapモデルの再現を希望」とのご依頼を受け、
該当のカスタムレシーバー(EMG × DYTAC 製 MWS用)を受領しました。
ぱっと見の雰囲気はNightcapに近く、全体のフォルムやカラーリング、そしてアメリカ系のリアル系刻印スタイルはそれっぽい。
ただし、決定的な違いがありました。

ただ一番残念なポイントとして、ノベスケのロゴだけの刻印が施され、スタO風の女性の刻印がありません。
なんとそれだけではありません。


資料がかなり少なかったのでNOVESKEの動画の切り抜き画像で鮮明ではありませんが、刻印とシリアルが違うことがわかります。
モデル ナイトキャップ
シリアルはNC(ナイトキャップ)〜
と大きな違いがあります。
【施工開始】WRMFZY × NOVESKEロア再現プロジェクト
今回ご依頼いただいたレシーバーは、Noveskeの「CHAINSAW」刻印が入ったモデル。
ですが、オリジナルのNightcapコラボロアとは刻印が大きく異なるため、
2箇所にわたる再刻印&セラコート処理を施していきます。
【ポイント1】大判の女性刻印に対応する加工手順

Nightcapモデルの象徴でもある“女性刻印”。
この刻印は非常にサイズが大きく・浅く・精密なため、通常行っているアルミパテによる埋め戻しでは、再刻印時に綺麗な仕上がりになりません。
そこで今回は、
1. 既存の刻印部分をフライス盤で物理的に除去
2. 精密加工したアルミプレートをその部分に埋め込み
3. 接着後、面出しして再度ベース面を整える
という手法を採用します。
これにより、まるで最初からその刻印がなかったかのような滑らかな仕上がりになります。
【施工中に直面した問題とその対処】
ただし、この加工方法には1つだけ大きなデメリットがあります。
それは、「アルミプレートとレシーバー母材との間にわずかな隙間が生じると、プレートが浮いてくる可能性がある」という点です。
とくに金属は温度差による膨張収縮があるため、仕上がり時点では完璧に見えても、後からわずかにプレートの“輪郭”が浮き出てくるリスクがあります。
【実際に起きた不具合とその修正】


今回もまさにその懸念していた現象が発生。
下地処理をしている最中にアルミプレートの一部がわずかに浮いてしまい、亀裂が発生。
順調そうに見えましたが、失敗率が多いのがこの施工の難点。
ただバッチリハマるとサバイバルゲームや寒暖差でも仕上がりが変わらないレシーバーに仕上がります。
【対策と改善】アルミパテの浮き・剥がれを防ぐ新手法
今回のトラブルを踏まえ、今後同様の再刻印作業をより確実に仕上げるために、接着精度を格段に高める改善策を取り入れることにしました。
■ 新手法:レーザーによる微細刻印で接着強度アップ

アルミプレートをはめ込むレシーバー側の母材に、レーザー刻印機でごく浅い「円形の微細なパターン」を無数に彫刻します。
これにより、
接着面が完全なフラットではなく、ミクロレベルで凹凸がある状態になり
アルミパテがしっかり食い込み、密着性が大幅に向上
パテが“面”ではなく“点群”に分散することで空気の逃げ道ができ、膨れが抑えられる
という効果を狙っています。
■ パテの充填精度も大幅強化
さらに、アルミプレートの接着前に、
掘削した空洞の底面および側壁にアルミパテを強制的に充填
空気を巻き込まないようにヘラとピンで奥まで練り込む
といった対処を徹底することで、空隙(ボイド)による後の剥がれ・浮き・膨張のリスクを最小限に抑えることが可能になります。
■ アルミプレートの再埋め込み

レシーバー側の接着面にはレーザーで微細な円形パターンを彫刻
接着時にはアルミパテを強制充填し、空気を完全に排除
プレート挿入後は圧着・乾燥・再研磨を慎重に繰り返し
この手順によって、面と面が完全に一体化したかのような表面が完成。
刻印ベースとして十分な強度と精度が確認できました。

裏側のロゴやシリアルなども全て正しいモノに修正しました。
細い刻印はアルミパテだけで綺麗に仕上がる事が多いのでアルミプレート方式は採用していません。
下地段階ですが完成系で綺麗に仕上がります。
■ そして完成へ――仕上がりと評価




再施工後のロアレシーバーは、亀裂や浮きは一切なし。
さらに、セラコートの焼き付け温度125度にも耐え、接合部に割れや盛り上がり、再刻印の痕跡すら残りませんでした。
触っても、見ても、“後から手を加えた”という違和感はゼロ。
納得のいく仕上がりになったと自信を持って言える完成度です。
■ MWSサイズに合わせた実用的再現
今回は東京マルイMWS用のレシーバーということで、実銃サイズとは一部バランスが異なる構造でしたが、
アルミプレート挿入の制約を加味しながらも、MWSのプロポーションに違和感なく溶け込む刻印配置を実現できました。
見た目のリアリティだけでなく、使用時の強度・耐久性も確保しています。
■ どんな要望でも、まずはご相談ください
弊社では、こうした金属加工や特殊施工、刻印カスタムまで幅広く対応可能です。
「これ無理かも…」という内容でも、まずは一度ご相談ください。
できる限りの形で、お応えします。
今回は少し長い記事となりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
また今後も面白いカスタム事例や技術的な挑戦をブログで発信していきますので、ぜひチェックしてみてください。
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